いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



……いいなって思った数秒前の自分を後悔した。



「教師たちは父さんの言いなりだし、俺がサボろうが父さんの耳には入らない」


「え、でも……一緒に住んでて分からないわけないよね?」



少しの矛盾も見逃したくない。

まだ、どこかで冗談だという可能性を信じたくて。



「親はほとんど帰って来ねえよ。忙しいから基本的に病院の中にある別宅で生活してる」



リビングを見渡す。


この広い家で、黒崎くんはひとりぼっちなの?



「……そんな……」



寒々と感じた理由は……そのせいなんだ。


……あ。

だとしたら、いつもひとりでファミレスでご飯を食べていた謎が解ける。


"このファミレス好きなの?"



「……っ」



あたし、なんて無神経なこと聞いちゃったんだろう……。

さらに大きい後悔の波が押し寄せる。



「せいせいするわ」



ふんぞり返って長い足を組む姿は、同じ高校2年生には到底見えない。

大人びた見た目も含めて、しっかりしてそうだし実際頭もいい。

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