いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



自分というものをちゃんと持っている気がするし、あたしなんかと違って、ひとりで生活できるかもしれない。

寝て起きて学校へ行って……それだけなら、ご両親も心配してないのかもしれない。

それでもあたしと同じ、まだ高校2年生だよね……?


そんな息子をこんな大きな家にひとり残して。

しかも大学病院の跡継ぎっていうプレッシャーと、お兄さんの死に関わる苦悩を抱えているのに……。


理解に苦しむ。



「どうして、お父さんは、」



そんなにも冷たいの。


でもそれを言うのはあんまりで言葉を選んでいると。

先に察して返された。



「俺に無関心だから」


「……」



お兄さんのことを明かしてくれたときに、病院が1番だというお父さんの人柄は少し見えたけど。

お兄さんが亡くなっても尚、それが変わらないの?

そんなことってある?


まるで自分のことみたいに悔しくて、胸の奥がひりひり痛んだ。

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