いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
ギュッと唇を噛みしめ目をつむり、溢れる涙を必死でこらえていると。
「…………やーめた」
ギュギュギュ……と、革のソファが深く沈む音がして。
目を開けば、蔑んだ瞳があたしに向けられていた。
「べつに、アンタになんて興味ねえ」
こらえたはずの涙が、また溢れてくる。
「……帰れよ。うざい」
投げられた言葉は、体中の力をすべて奪ってしまうくらいの威力があって。
帰るどころが立ち上がれなくなる。
「ほんと、めんどくせえ女」
動けないあたしに痺れをきらしたのか、黒崎くんが立ちあがる。
リビングを出て……階段を昇る音が聞こえた。
さすがにそれを追いかけることはもう出来ず。
「ううっ……っく……」
腕に涙を落とすだけ。
好きな人から冷たくされるって、こんなにもつらいんだね。
淡く抱いた想いにいつの間にか実がついて。
身の程知らずの恋にぶら下がり。
ただ甘やかされた恋しか知らないあたし。
だから、こんなにも。
恋が……胸を焦がすものだなんて。
恋がこんなに痛いものだなんて、知らなかったんだよ……。