いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
……聞いてたの?今の話……。
昨日の今日で、あたしはまだ黒崎くんの顔を正面から見れてない。
不意打ちに視界に入り込んできたその顔は、やっぱりいつものように無愛想で。
……こんなに冷たく接されてるのに好きだなんておかしいよね。
あたしの中での好きという定義が、もう分からなくなってる。
明るくて、キラキラした笑顔の律くんに恋をしたはずのあたしが、どうして真逆の黒崎くんに恋に落ちたんだろう……。
「……美優?」
「ひゃっ……」
その驚きも冷めやらぬまま再び声を掛けられれば、そこには律くんがいた。
「次、古典だよ」
英語の辞書を手にしたままのあたしにそう声を掛ける律くんの目線の先は……黒崎くんの背中。
それを見れば、律くんは結構前からあたしを見ていたのかもしれない。
「あ……そうだよねっ」
なんとか笑顔を取り繕いながら、英語の辞書をロッカーにしまい入れ替わりに古典の教科書を取り出すと、
「おう、眠くなんないように気をつけなきゃな」