いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
その日の放課後、あたしは久しぶりに教室で律くんを待っていた。
距離を置いてから、『今日は待っててくれる?』の言葉を言わなくなった律くんに、あたしから『今日放課後待っていていい?』と声を掛けたのだ。
一瞬驚いたような顔をしたけれど、『わかった』と短く答えた律くんにはもう見抜かれているのかもしれない。
その理由が。
黒崎くんと小野先生のやり取りに、先延ばしになっていた"あの話"。
あのときは、律くんの浮気…という理由だったけど、今回はちがう。
黒崎くんとどうにかなりたいわけじゃない。
そんなのなれないことくらい初めから知っているし。
だからこそこのまま律くんとの関係を続けるのは、律くんに甘えているだけでダメだと思ったんだ。
傷つけたくないつもりが、もう傷つけているという万葉ちゃんの言葉が背中を押したのも事実。
彼女がいても好きなのは自由だと思ったように、相手が振り向いてくれなくても想い続けることは自由で、それはやめろと言われて出来るものじゃない。
不道徳だから消そうと、コントロールしようとして出来るものじゃない。
……律くんを好きな女の子たちも、きっとこんな気持ちだったんだよね。
それを身を持って感じたから……。
ちゃんとけじめをつけることにしたんだ。