いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



たった2週間程度なのに、放課後ひとりで待つ教室はすごく久しぶりに感じた。


なのに、突然黒崎くんが教室に入って来たのはつい昨日のことのように思い返される。……へんなの。


気付けばドアの方ばっかり見てしまうあたしは、黒崎くんがまたここへ入ってくるのを気にしているみたいで。



「ふっ……」



バカみたい、あたし。

そんな自分にあきれた笑いが漏れた。


座っているのも落ち着かなくて、ゆっくり前へ歩き出す。

そして黒板の前に立ち何気なくチョークを手に取ると、ウサギやパンダ……思いつくままに落書きした。


小学生の頃は黒板に落書きするのは禁止されていた。

だからお楽しみ会で黒板を色とりどりのチョークで飾った時はウキウキしたっけ。

そのうちチョークに憧れる気持ちなんてなくなって、今では当てられたときに答えを書くくらいしかないなぁ……。

なんて懐かしく思いながら今度はハートを描くと。


ボキッ!



「あっ……」



途中でチョークが折れてしまい、出来上がったハートはそのせいですごく不格好になった。

歪んでしまったあたしの恋心を象徴するかのように。


……このハート、まるであたしの心みたい……。


……やめよう。

そんなハートを見ているだけで心苦しくなって、黒板消しでサッと消し去った。


あたしの心の中もこんな風に消して書き直せたらいいのに。

距離を置いている間に、律くんへ向かって綺麗なハートへと修復できたらよかったのに……。

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