いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。


「あたしっ……律くんと付き合って毎日がキラキラしてた。告白されたときは、死にそうなくらいうれしかった……。すごく幸せだった……」



満たされていたはずなのに、未熟なあたしは黒崎くんへ気持ちが傾いてしまった。



「じゃあ……どうして……」


「全部あたしのワガママなのっーー」


「それでも美優を諦められないって言ったら?」



頭上に声が落とされ、顔をあげる。



「美優の気持ちが誰かに向いていたとしても、俺は諦めたくない」



……誰か……。

律くんは、別れの理由がちゃんと分かってる……。



「美優がその人と幸せになれるっていうなら潔く身を引く。でも、美優がその人のことで悲しい顔をしてるのは見たくない」



……律くん。



「そいつが美優を笑顔にしてくれないなら、俺は別れない」



どうしてそこまで……。



「別れたくない……っ……」



その顔は悲しいくらい歪んでいた。



でも、ちゃんと言わなきゃ。



「……ごめんなさい。……好きな人が……出来たの……」



こんな風にあたしから別れを告げるなんて、夢にも思ってなかった。


だけど理由をちゃんと告げないと、終われないし進めない。

あたしも、律くんも……。

< 325 / 389 >

この作品をシェア

pagetop