いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「あ、来た!」
誰かの声で、みんなの視線が一点に集中する。
タイミングが悪いことに、ちょうど黒崎くんが登校してきたのだ。
クラスメイトの視線を一身に浴びれば、黒崎くんもなにかあると察した様子。
一瞬足を止めたものの……ポーカーフェイスを崩さず自分の席に向かった。
「おいっ、これどういうことだ、説明しろよ」
男子のひとりが答案用紙をはがし黒崎くんの前に突きつける。
それを見た黒崎くんはほんの一瞬眉が寄った。
でも、気をつけていないと見過ごしてしまうくらいのもの。
あたしに分かったそれも、周りからみたら顔色ひとつ変えないと思ったのか。
「開き直りかよ!呆れてものも言えねーわ!」
淡々と鞄の中身を机に乗せる黒崎くんに向けて、そのプリントごと、バンッ、と机に叩きつけた。
はずみで、黒崎くんの私物が床に落とされる。
「なあ。黒崎って首席だったよな。こんな点取りやがってナメてんのか!?」
「理事長の息子だからオマエの態度には我慢してきたけど、これには目を瞑ってらんねえだろ」
「そうだそうだ!」
他のクラスメイトたちも黒崎くんに詰め寄った。
内申点を一つでもあげたい彼らにとって、不正で内申点を加算してる事実を知れば許せないのも理解する。
この間まで黒崎くんを支持していた女子たちまで、険しい顔でその様子を見ていた。
「…………だったらなんだよ」