いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



……教室の雰囲気が悪すぎる。

こんなのはもうイヤだよ……。



今日も空気の悪い教室内を見渡すと、輪ゴムを手にした男子数人が、目配せしながら黒崎くんに向かって黒い笑みを浮かべていた。


……もしかして、黒崎くんを狙う気!?


そう思った矢先、ひとりの男子の手を離れた輪ゴムは放物線を描いて。



「……っ」



黒崎くんのおでこに命中した。

顔に当てるつもりはなかったのか、男子たちはヤベえって顔をする。


当の本人は、机に落下した輪ゴムを指でつまんで……そのまま床に落としただけでやっぱり何も言わない。



ちょっと……!

体が怒りで震える。


おかしいよ、こんなの……!


あたしがされてるのだってイジメだし、イジメに大も小もないかもしれない。

けどこれは悪質すぎる。

ともすれば怪我だってしかねない。


みんなでやれば怖くない……そんな流れになっているこのクラスのイジメを止めなきゃ、いつか黒崎くんは大怪我するかもしれない。

今のだって、目に当たってたら失明の危険もあった。


それで味を占めたのか、もうひとりがまた輪ゴムで狙いを定めたのが見えた。


瞬間───



「もうやめてッ……!」


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