いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
気付いたらあたしは立ち上がっていた。
自分でも驚くほどの声量に教室内はあっという間に静まる。
みんなの視線が一気にささって、体中がかぁぁっと熱くなったけど。
「寄ってたかってそんなっ……もうやめようよ……っ!」
こんな大勢の前で声を張り上げたことなんてない。
脚はガクガク震えている。
声だって震えてる。
それでも。
「どうしてそんなひどいことばっかりするの……!!」
黒崎くんがなにも言わないなら、代わりに誰かが声をあげないと。
黙っているからって傷ついてないわけじゃない。
そのまま受けていていいわけじゃない。
あたしだってそうだもん。
律くんと別れたことで受けた嫌がらせの数々は、自分に非があるから抵抗も出来なかった。
それでも痛みを抱えてないわけじゃない。
やめて……ってどれだけ心の中で叫んだと思う?
その痛みを共有している今……声をあげられるのはあたししかいないと思ったんだ。
「人には……みんなそれぞれ事情があるんだよっ」
後先のことなんて何も考えてなかった。
ただ、黒崎くんを守りたい……その一心で。
「へー、じゃあ柏木は黒崎の事情ってヤツを知ってんのかよ」
輪ゴムを手にしていた男子がすかさずそう突っ込んでくる。
「それはっ……」
「もしかしてお前らデキてんの?」