いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



壁なんて、出来ない言い訳にしかならないんだ。

あたしだって、弱いから知ってる。

自分で高い壁を作って、劣等感に苛まれてその後ろで佇んでいた方が楽だから。

出来ないのを壁のせいにして自分を慰めるの。



「心は傷ついてるのに強いふりして……さっきのあれだって……ほんとに、大バカだよ……黒崎くんは」



ガラスを割るなんて、あんなのやり過ぎだよ……。



「あたし……あのくらい全然平気だったのに」



イジメの矛先を変えるため、だなんて。

スケールが大きすぎて分かりにくい彼の優しさに鼻をズズッと吸うと、呆れたようなため息が聞こえた。



「……バカはどっちだよ」



その瞳を見れば、かばってやったのに事を荒立てやがって……そんな風に映る。



「俺なんて最悪学校やめてもどうにかなんだよ。アンタこそ自分の立ち位置分かってんのか?」


「……!?」


「白鳥振るとか正気かよ。まあ?俺に原因の1%もねえかっつったら胸が痛ぇからこその矛先の転換だったのに、それすら無下にしやがって」



「学校をやめる……?」



黒崎くんの饒舌に滑る口からあたしの耳に残ったのはその言葉。



「ダメだよそんなのっ!」



ぐっ、とさらに歩み寄って、高い位置にあるその瞳を見上げた。


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