いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
***
思い余って、あたしは屋上を飛び出した。
黒崎くんの顔を見ていたら、泣いちゃいそうだったから。
「……迷惑……か」
だよね。
優しい言葉なんてなにひとつ期待してなかったし。
黒崎くんらしいといえばらしいのかもしれない。
そのくせ、そんな言葉に耐えられなくて飛び出してきちゃったなんて……。
フラれる覚悟もないあたしは、やっぱり弱いままだね……。
すでに1時間目は始まったようで、廊下はひっそりしていた。
これからどうしよう。
途中から教室に入っていくのも気まずいし、そもそも授業なんて受けられる気分じゃない。
階段を下まで降り切って、広い校舎を当てもなくとぼとぼ歩いていると。
「きゃっ!」
廊下の曲がり角から勢いよく飛び出してきた何かとぶつかりそうになった。
「美優っ!!!」
「……万葉、ちゃん……?」
それはなぜか万葉ちゃんで、あたしの姿を確認するや否やものすごい力で抱きついてきた。
「やっと見つけたっ!!」
「うっ……くるしっ……」
「和久井から一部始終聞いて、ずっと探してたんだから!」
そういう万葉ちゃんは、なかなか体を離してくれそうにない。
今日はバレー部の朝練があったようで、さっきの修羅場は見ていないはず。
でも息を切らしたその様子から、必死にあたしを探してくれていたのが分かる。