いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「あたしはなんにもしてないよ。ぜーんぶ、美優の力だよ!
あたしだって教えてもらったもん。愛されてる人の側にいる方が絶対に幸せだと思ってたけど、そうとは限らないんだね。
誰かを強く想うことで、心まで強くなってこんなにも輝くんだって思い知らされた」
「……万葉ちゃん……」
「なんたって、あの美優が告白までしちゃったんだから」
「万葉ちゃんっ……!!」
思わずギュって抱きついた。
周りからどんな批判を浴びても、ただひとり、万葉ちゃんに認めてもらえたことがうれしくて。
自分の気持ちに正直になって、ほんとに良かった。
「すごいよすごい」
そう言うとまたあたしをギュって抱き締めてくれて、頭をグリグリ撫でられた。
「うわあっ、髪の毛が……」
咄嗟に頭に手を乗せると、蜘蛛の巣みたいにもさもさになっている。
それを見て、あははと声をあげて笑う万葉ちゃん。
そんな笑顔を見てたら……。
あたしはひとりじゃない、恋に破れても大好きな親友が側にいてくれる。
それってなんて素敵なことなんだろう。
落ちていたはずの心に、温かな火が灯った。
「そうだっ、万葉ちゃん授業どうする!?」
気が緩んだら、今が授業中なのを思い出す。
あたしはともかく、万葉ちゃんまで巻き添えにしちゃったなんて大変!
「ん?授業?そんなのこのままサボっちゃえばいいよっ!」
イタズラな瞳でウインクする万葉ちゃんに。
「そうだねっ」
たまにはこんな日もあってもいいかもねって、ふたりであははと声をあげて笑った。