いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
……俺は好きだや愛してるの感情を自由に持てないんだ。
自分の意志で誰かを好きになるなんて……出来ないんだよ……っ。
だってそうだろ?
"俺の女"は、父さんが決めるのだから……。
「クソッ……!」
柏木へ立ち位置の警告なんてしておきながら、自分の立ち位置の方がよっぽどイラついてムシャクシャする。
でもすぐに、熱い感情が流れてくる。
教室で叫んだ柏木の声を思い出して。
"もうやめてっ……"
正直驚いた。
白鳥にいいように動かされてるだけだと思っていたはずの柏木が、たったひとりでクラスメイトに刃向ったのだから。
知れば知るほど、柏木は俺の予想の斜め上を行く行動をとってくる。
どこにそんな力をひそめてんだよ……。
ガラスを破った意味だって見抜かれてた。
柏木に向けられた注意を逸らすため……は自分への理由づけで、本当はいつまでもやめられない、父さんに執着した俺の甘ったれな行動。
……にしても、やり過ぎたな。
廊下にはガラスが散乱しているはずだ。
怪我してるヤツがいなきゃいいけど。
椅子を投げつけたその手をジッと見つめていると。