いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「どうしてか分かる?」
問われて静かに首を横に振る。
「あなたの様子を教えて欲しい……って」
「……!?」
「ここの先生たちは口を揃えていいことばかりを伝えてくる。でもお父様が知りたかったのは、本当のあなたの姿」
ドクンドクン……。
俺の血が、勝手に高揚をはじめた。
まだ感情も定まらないのに、先に反応した血液が煮えたぎるように俺の体を猛スピードで流れていく。
「私だってまだ心はボロボロだったし、一度は敵だと思ったお父様にそんなこと言われても素直にうなずけなかった。……でもね」
一度言葉を切ったあと。
「……私が、あなたに会いたくなったの」
柔らかく微笑んだその顔は、あの夏、兄さんの横で笑ってた高校生の頃の美鈴と重なった。
あのときと同じ長さの髪が、風に吹かれて優しく靡く。
「お父様は……テストを白紙で提出するあなたに心を痛めてた。計り知れないストレスとプレッシャーにあなたが飲み込まれてしまうんじゃないか……いつも気にかけていた」
愕然とする。
伝わっていなかったと思っていた俺の素行は、美鈴から全部筒抜けだったのか……?