いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
その事実が俺の胸を刺激して、呼吸をするごとに嗚咽が漏れてどうしようもない。
人前で泣くなんて不本意で仕方ないのに……止められねえ……。
「うっ……うっ…」
そのときタイミングよくチャイムが鳴って。
俺の嗚咽は、授業の始まりか終わりかもうわからないそれが書き消してくれた。
その音色と嗚咽が同時に消えたとき。
「白鳥くんに言われちゃった。みんなが自分自身を許さない限り、彼は浮かばれないですよ……って」
涙のシミがついたコンクリートを見ながら、耳を研ぎ澄ませる。
「私は白鳥くんに甘えることで逃げていた。だから、本当に勝手だけど、もう自分を許そうって思うことに決めたの。
それだけで随分と心が落ち着くようになった。白鳥くんに涼成を映さなくても、思い出の中の涼成と生きていけるって……」
顔をあげると、美鈴は青い青い空を見上げて小さく微笑んでいた。
真っ青な空。
まるで、兄さんと一緒に見たあの夏の空のような青に、俺の心に透明な風が流れ込んだ気がした。
ずっと根付いていた心の霧がスッと晴れるように。
自分を許す……か。