いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



……律くんっ!?



「落ちたら骨折してたかも。試合近いのに勘弁してよ」



あたしに密着した状態でその聞き慣れた声が耳に届く。


ほんとに……律くんだ。


チラッと目線だけ後ろにやると、律くんは片手であたしを抱き留め、反対の手で手すりを掴んでいた。

相当な力でつかんでいるのか、腕にはくっきり青筋が見えるほど。

律くんこそ落ちるギリギリの所で足を踏ん張っている。


そのままなんとか踊り場まで押し戻されて両足を床に付けると、律くんはあたしから手を離した。



「……っ、あたしたちはっ……べ、べつに律をそんな目に遭わせるつもりなんてっ……」


「じゃあ美優ならよかったわけ?」



背筋が凍るような律くんの声に、押し黙る彼女たち。


久々にこんなに怖い律くんの声を聞いた。



「や、やだぁ。律、顔が怖いよ」


「そ、そんなに怒らなくてもぉ~……」



さっきとは打って変わって猫なで声を出す彼女たちの顔は相当引きつっている。


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