いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「俺だっていつもニコニコしてるわけじゃないから。好きな子がこんな危険な目にさらされてまで笑っていられると思う?」
「えっ……好きな子って……だって別れんたんじゃないの?」
驚いたような彼女たちと同様、あたしも驚く。
「別れたって好きなもんは好きなんだよ。悪い?」
「……っ」
当たり前のように律くんがそう言うと、彼女たちは気まずそうに顔を見合わせて、逃げるように階段を下りて行った。
「間に合ってよかった」
彼女たちの前で見せていた強気な表情から一変、ほっとしたように大きく肩で息をする律くんだけど。
前の一言が、あたしを激しく動揺させる。
「あ……ありがとう。でも、どうしてここに律くんが……?」
ここは人通りの少ない階段。
偶然にしては出来過ぎている。
「和久井が教えてくれた」
「和久井くんが?」
「美優がさっき机の中から怪しい紙を見てたって聞いて、悪いけど確認させてもらったんだ」
「あっ……」
紙を戻したままだったのをすっかり忘れていた。
ラブレターなんてウソ、和久井くんには通用しなかったんだね……。
「もっとカッコよく登場出来たらよかったんだけど」