いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



目に飛び込んできたのは、仰向けに倒れたままピクリとも動かない中島の姿。



「おいっ、息してないぞ!!」


「心停止かっ!?」



胸に触れたヤツが青ざめた顔をして言えば、騒がしかったこの場が一瞬で静まり。



「どうしようっ……」


「誰か先生呼んで来いよ!」


「救急車救急車!」



パニックになる教室。


次の瞬間、俺は教室を飛び出していた。


……確かあそこにあるはずだっ。

記憶を頼りに階段を3段飛ばして降りて向かうのは正面玄関。



「あった!!」



勢いよく掴んだのは、AED……自動体外式除細動器。


心停止を起こした人の応急処置をするために、今ではどの学校にも設置されているものだ。

医者の家に生まれればそのくらいの知識はあったし、使い方も知っている。


とにかく、一分でも一秒でも早くショックを与えないと……!


それを手にまた3段飛ばしで階段を駆け上がり教室まで戻ると、人だかりはさっきよりもふくれあがっていた。


同じフロアにいた教師も集まり、呼びかけたり脈を取ったりしている。



「さわんな、どけっ!」



俺はそこへ飛び込み中島の手首に指を乗せるが、やはり脈は触れてない。……心停止だ。

シャツを引き裂くようにして胸を全開にさせ、すぐさま胸骨圧迫を行うと。



「手伝えることはあるかっ!?」



そう名乗り出たのは、白鳥だった。


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