いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「みんな聞いてくれ。中島先生は無事に意識を取り戻したそうだ」



クラスは歓喜に沸く。



「黒崎、ありがとう。黒崎の応急処置が中島先生の命を救ったんだ。あと少し遅かったら間に合わなかったかもしれないそうだ。救急隊員の方も感心していたらしい」



そう言う岸本の目には涙が浮かんでいた。


良かった……。

ようやく緊張から解き放たれて肩で大きく息を吐いた。



「すげーぞ黒崎!!」


「やったなあ、やっぱすげーよオマエっ!!!」



ワッと拍手で包まれ、駆け寄ってきた名前も知らない男子に肩を揺さぶられる。



「当たり前のことをしただけだ」



口先ではそう放ったが。

心の中では叫びたいほどの安堵と喜びであふれていた。


こんな感情……俺にもあるんだって自分でも驚くほどに。


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