いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「もうすぐ期末テストだ~最悪~」



下敷きをウチワ代わりにして仰ぐ万葉ちゃんが、大げさに顔を歪めながら振り返ってきた。

気付けば7月に入り、夏休みを前に少し浮ついた感じの教室だけど、その前にテストという大きな難題が待っている。



「万葉ちゃんそれ言わないでっ……!」



あたしも考えただけでちょっと憂鬱なんだ。



「美優がそんなこと言うなんて珍しいじゃん」


「だってぇ……」



いろいろあり過ぎて勉強がおろそかになってるから結構ヤバいんだよね……今回。



「あーテスト勉強どうしよう。家じゃ勉強もはかどらないし困ったな~。そうだ、自習室使ってみようかな。行ったことないけどどんなとこだろ?」



万葉ちゃんから出た自習室の言葉にちょっとドキッとしたけど。



「すごくいいところだよ。こじんまりしててキレイだし、集中力も高まりそう」


「あれ?美優使ったことあるの?」


「えっ?ないけど……きっと、そうだよっ」



黒崎くんのお兄さんと小野先生の思い出の場所。


それはきっと素敵な場所に決まってる。

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