いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



そして、今日。

黒崎くんの謹慎が解ける。


あたしはいつもよりも早く目が覚めて、学校へも早く来てしまうほどソワソワしていた。


席について、意味もなくペンケースのファスナーを開けたり閉めたり。

ちょっとでも何かしてないと落ち着かないの……。



「黒崎来たよっ!」


「へっ……」



待っていたくせに、まだ心の準備はできてなくて。

万葉ちゃんの言葉に思いっきり動揺したあたしの手から、ペンケースが床に滑り落ちた。


わわっ!

ぺ、ペンケース拾わなきゃ!……なんて都合よく意識をべつの所にやって床に手伸ばすと。


あたしよりも先にスッと伸びた手が、それを拾い上げた。



「……はい」



こんなにも早く、ううん、言葉を交わすことすら予想してなかったのに。

交差する黒崎くんとの視線に息が止まりそうになる。


振られたくせに、想いは募るばかりで。

ただ、ずっと、逢いたかった……。



「…………あ……ありが、とう……」



渡された瞬間、指先がほんの一瞬触れあって。



「わっ……!」



またペンケースを落としてしまうという、どうしようもないバタバタっぷり。

動揺しすぎでしょ、あたし!!

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