いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
ちょっと……!
せっかくキレイにしたのにこの短時間で誰が落書きなんて!?
そう思って黒板に駆け寄って……
『好きだ』
書かれていた文字に目を丸くした。
え?
ええっ?
誰がこんなところに……?
そのドキドキするような文字は、ちょっと薄く、細長く、サラサラと流れるように書かれている。
「……あ、」
たったの3文字だけど、あたしはその筆跡に見覚えがあった。
こんな風に、流れるような細い文字を書く人を知ってる……。
……もしかしてこれ……黒崎くんの字……?
無意識にその文字に指を乗せると。
「好きなんだけど」
そんな言葉が聞こえた気がした。
あの日……。
突然黒崎くんが教室に入ってきて。
そう言って来たんだっけ……。
すべてはそこから始まったんだ。
目も合わせたことすらなかったあたしと黒崎くんのはじまり。
あのときは嫌悪しかなかったけど、振り返ればいい思い出だなぁ……なんて懐かしさにふけって……。
「……え?」
今の声……。
脳内で再生されていたかと思っていた声が、リアルなものかもしれないと気づいたのはその数秒後。
よく考えたら後ろから聞こえてきたような気がして、咄嗟に振り返ると……
そこには、黒崎くんが居た。