いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
小野先生の流暢な英語が、静かな教室に響き渡る。
イギリス生まれで帰国子女の小野先生の発音はほぼネイティブ。
今は教科書の文面を追う時間だけど、半分くらいの男子は小野先生の顔を追ってるんじゃないかな?
あたしでも見惚れちゃいそうなほどきれいだもん。
憧れるのはきれいな所だけじゃない。
将来は外国語関係の仕事に就きたいと思っているから、目下の目標は小野先生。
今日も心地いい朗読に耳を奪われていると。
──ガラッ、バン!
この空間を引き裂く音が響いた。
みんなが一斉に音の矛先に目を向ければ。
後ろのドアを蹴破るように入ってきたのは、黒崎くん。
びくんっ、と心臓が跳ね上がった。