いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「ああ……」
玄関にばらまかれたテキストやノートを見てタメ息。
ほんとあたしって、どんくさい。
こんなんで完璧な律くんの彼女とか、笑えるよ……。
これでも律くんの彼女として恥ずかしくないように努力してる。
ほんとにほんとに小さいことだけど。
内面はそうすぐには変われないから、毎日髪の毛をトリートメントしたり、肌をきれいに保てるように野菜や果物を積極的に摂ったり。
爪の先まで手入れして、鏡に向かって笑顔の練習をしたり。
……律くんが知ったら、笑うかな。
それでもあたしは律くんのために、律くんに似合う女の子になりたいって強く思ってるの。
あたしにはもったいないくらいの彼のために、少しでも。
なんであんな子が彼女なの?なんて律くんの耳に入ったら申し訳ないもん。
……もう、知ってるかもしれないけど。
考えて、落ち込みながらその場にしゃがみ、テキストを拾っていると。
「そこ邪魔」
黒いローファーを履いた足が、あたしの手を蹴るようにして玄関に入ってきた。