いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「あ、ごめんなさい……」
邪魔だったよね。
慌てて立ち上がって頭を下げた後、その顔を見てあたしは固まった。
だって。
「……く、黒崎くんっ!?」
どうしてここに居るの?
どうして……
驚きながらもその顔から目が離せないあたしに、黒崎くんは特別感情のない瞳を注ぐ。
「アンタ、俺の名前知ってたんだ」
「えっ……だって、クラスメイトだし……」
昨日、認識したばっかりだけど。
それに言葉の通りクラスメイトだし、知っててなんの不思議もない。
「ま、悪い気はしねえな」
ポツリと言って、昨日見たような不敵な笑みを浮かべる彼は。
そのまま靴を脱いでスリッパに履き替えると、あたしの教室とは別の部屋に入って行った。
それはどう見ても、慣れた一連の動作。
うそ。
黒崎くんが、ここの塾生だったなんて……。