いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
……あ。
春休みに律くんと出かけた時に、律くんの地元の人たちに会ったことを思いだす。
「あの時の……」
律くんは冷やかされていてあたしは恥ずかしく、顔をあげられなくてよく覚えてないけど……きっとその中にいた子なんだ。
「あたし中学の時、律のこと好きだったんだよね~」
「……」
そんなことを打ち明けられて、あたしはどうしたらいいか分からない。
髪を綺麗に巻いて化粧をした彼女の方が、女子力も魅力も高いことは一目瞭然だから。
「ははは、千里(チサト)、この子に負けたの?」
「そうみたいだねー」
もう、俯くしか出来ない。
居心地が悪い。
今すぐにでもこの場から逃げ出したいよ……。
それでも、彼女たちの会話は終わらず。
「明應ってことは、柊哉も同じ高校だよね?知り合い?」
千里と呼ばれた子が黒崎くんに振る。
えっ……
黒崎くんに振らないでよ!
そんな心の叫びは届くわけもなくて、それまで黙っていた彼があたしに流し目を注いだ。