いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
ドクンッ……。
黒崎くんと目が合い、蘇る昨日の出来ごと……。
唇が、熱くなった気がした。
ふいっと先に目をそらしたのは黒崎くんの方。
そして、
「こんな女しらねえよ」
興味もなさそうに吐き出すと、靴のかかとを踏みつぶしたまま外へ出て行く。
「あ、待ってよ~」
そのあとを追いかけるように彼女たちも慌ただしく出て行き。
玄関は嵐が去ったように静かになった。
取り残されたあたしは、しばらくその場に立ち尽くす。
うそつき。
知らないってなによ。
あたしになにしたかわかってるの?
嘘の告白をして、無理矢理キスして。
──こんな、女。
あたしは。
"こんな女"とあたしを呼ぶような人に、キスをされたんだ。
その事実が悔しくてこみあげてくるものが我慢できなくて、涙が一筋零れた。