いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



ひときわ高いその声に頭を振ると、それはサッカー部マネージャーの麻生(アソウ)さん。



「おう!」



片手をあげて返事をした律くんは、小走りで麻生さんのところへ向かう。


サッカー部の用事かと思い、次の授業の準備をしながら見ていると、もうひとり可愛らしい女の子がいることに気づく。


少し緊張気味に、手を胸の前で組みながら律くんを見つめている。


……もしかして、用事があるのはこの子?


そっか。告白か……。


いつもこうやって呼び出されては告白される律くんだから、それほど驚かないけど。


やっぱり胸の中は複雑。

教科書を持った手に、グッと力が入る。


あたしなんて、律くんを好きな女の子からすれば全く眼中に入ってないよね……。

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