いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
黒崎くんはあたしにチラリと視線を送ったあと。
「……べつに。ただ楽しそうでいいなってことだよ」
一言放つと立ち上がり、教室を出て行った。
「なにあれー」
「かんじわるーい」
去ったとたん、批難にさらされる黒崎くん。
それを見れば、黒崎くんはクラスメイト達からまったく支持されてないのが分かる。
……ほっ……。
そんな中、あたしは人知れず胸をなでおろした。
「美優、大丈夫か?」
「……う、うん……」
「そうだ、これ持ってっちゃってさ」
渡されたのはあたしの下敷き。
「……あ」
それは、さっき熱い顔を冷ますかのように煽いでいたもの。
「わざわざ、ありがとう……」
「それにしてもなんだよアイツ。美優って、黒崎とよく喋るの?」
「へっ……?ううんっ、今日が初めて……」
ウソをついた。
「…そっか。だよなっ。つーかもう、アイツとは関わらないようにしろよ?」
律くんの忠告に、あたしは黙ってうなずいた。