いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「で?彼氏は?」



周りに目をやって、律くんがいないのを不思議そうに問う彼。


そんなこと黒崎くんに関係ないと思いつつも。



「……電話でサッカー部に呼ばれて……」



答えちゃったのは、淋しかったからかもしれない……。



「ふうん」



べつに興味もないって顔。

なら、聞かなきゃいいのに。


黒崎くんは手に小さな花束を持っている。

……黒崎くんもデートなのかな。

花なんて似合わないけど、彼女の前ではいい彼氏なのかもしれない。


あたしは黒崎くんの動向を知りたくもないし聞きたくもない。

ただ、早くこの場から立ち去りたい思いでいっぱい。


その願いが通じたのか。



「じゃ、またあとでな」



そう言うと、黒崎くんは雑踏の中に紛れていった。





またあとで……?


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