いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。


呼吸が早くて息が乱れる。

その場からまだ動けず、小さく丸まっていると、



「立てよ」



手が差し伸べられた。


暗くて顔は見えないけど、声でわかる。




…………黒崎くんだ。



黒崎くんがひどい人だとか、そんなこと考えてる余裕はなかった。

とにかく何かにすがりたくてあたしはその手にしがみつく。


ゆっくり立たされて、頭上に吐き出されるのは盛大なため息。



「……んな格好でこんなとこフラフラしてんなよ」



……それは黒崎くんのせいだよ。

そう言いたいのを飲み込んで。



「……ありがとう」



ワンピースは汚れていて、肘や膝からは出血していた。


なんてみじめな姿……。

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