いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「これやる」



差し出されたのはポケットティッシュ。



「…………ありがとう」



こんなものを持ってるなんて意外だけど、怪しい広告入りなのを見ればきっと駅前でもらったものなんだろう。

ゆっくり手を伸ばして受け取り、傷口に当てた。



「うっ……」



その痛さに顔を歪めれば、こうしている間に自販機で買ってきたのか今度はペットボトルの水が差しだされた。



「傷口と、ほら、アンタも飲んで落ち着け」


「……え」



あたしが知ってるのとは全く違う声で。

決して優しくはないけど、冷たくも、ない。


なんか、調子狂っちゃうよ……。



「いらねえのかよ」



なかなか受け取らずにいるといつものように冷たく言葉を吐き出した。



「あ……いり、ますっ……」



しっくりきたその声に「ありがとう」と言って受け取り、水で傷口を洗い流したあと残ったぶんは口に含んだ。

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