いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



隣を歩く黒崎くんは、ポケットに手をつっこんだまま長い足をだるそうに前へと進めている。


半歩遅れた距離からそっと、その横顔を眺めた。


怖さが優先して今までまともに見たことがなかったけど、よく見ると結構整った顔をしてる。

もっと愛想がよければモテるんじゃない?

背は高いし、顎だってシャープだし、鼻筋は通ってるし、唇だって……。


…………。


見つめて、思い返す"あのこと"



ねえ、黒崎くん。

どうしてあのときキスしたの……?


聞きたくてたまらない。

あたしに好意があるなんて1ミリも思ってないけど、それを知る権利くらいあるでしょ……?


そのせいで、あたしは今でも律くんに後ろめたい気持ちを持ち続けているんだから。

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