いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「土曜日から眺めてるだけでやばかったけど、美優がつけてんの見たらもっとやべえ」



緩やかに弧を描く口元を見れば、その想いは同じなんだと伝わってくる。


リングひとつでなにかが変わるとは思っていないけど。

万葉ちゃんの言ってた"証"って、こういうことなんだろうなぁ……。


互いにそのリングを見せ合っていると、黒崎くんが教室に入ってくるのが視界の隅に映った。



「……、」



思い出す、土曜の夜のこと。


たった数十分の出来事だったのに。

もしかしたら律くんとのデートよりインパクトを残しているかもしれない……不本意だけど。




……あたしは。

律くんに言えない秘密をまた増やしちゃったのかな……。


うれしいはずのペアリングが、重たく感じた。

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