いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
カタッ。
静かに椅子を引いて、自分の席に着く。
……落ち着かない。
普通にしようって思うのに、隣に黒崎くんがいる……それだけで心臓がバクバクしてしょうがないんだ。
『もう1回、する?』
聞こえない声が聞こえてくる。
『危ねえっ……!』
強引に引き寄せられた腕。
律くんにだってあんなにきつく抱きしめられたことないのに。
薄い生地を隔てて密着した体の感覚はいまでもハッキリ覚えていて……。
律くんと同じ男の人なのに、まったく違う生き物みたいな行動をする黒崎くんに、心と体がうまくついていかない。
『ドキドキしてんなよ、単純』
あたしは……どうしてドキドキしたの……?
意識しちゃダメって思うほど、神経は右側に集中して……。
あの夜に帰ったみたいに心臓がバクバクする。
なんなの、これ……。