いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
キスされたこと。
抱きしめられたこと。
優しくされたこと。
……どうしてだろう。
嫌悪でしかないはずのそれを思い出して、熱を帯びる胸の奥……。
だめ。
勘違いなんてするな。
どうみたって黒崎くんはあたしをからかってるだけ。
ギュッと目を瞑って一掃させようとするけど、心の中は晴れない。
追い出したいのに心の中にモヤとして居座ってる。
こんなにも気になってるのは……きっと後味の悪い別れ方をしたからかもしれない。
「……黒崎くん…」
律くんが友達との話に夢中になっている隙に呼びかけた。
大げさに言えば決死の覚悟で。
あたしから呼ばれるとは思っていなかったのか、首をこちらに向けた黒崎くんの眉間にはシワが寄っていた。
その深さが機嫌の悪さを物語り、それだけで恐れをなすあたし。
……ああ、やっぱり声掛けなきゃよかったかも。