もしもの恋となのにの恋
納得・・・。
その言葉が妙に胸の内に引っ掛かった。
俺にはどうしても納得ができないことが一つある。
それは千鶴の親友、夏喜のことだ。
なぜ、夏喜が千鶴の唯一無二の親友なのか・・・。
俺にはそれがわからない。
いや、わかりたくもない。
もしも、夏喜が死んでも俺は夏喜を許すことはできないだろう。
俺は夏喜のことを好きでも嫌いでもない。
夏喜はこれと言って容姿、性格ともに特徴のない人物で、もしもその容姿に特徴があるとするならば、それはスラリと伸びた指先でその性格に特徴があるとするならば、それは千鶴を人一倍、気にかけていると言うところぐらいだ。
それぐらいにしか俺は夏喜を認識していない。
なのに・・・だ。
なのに俺は夏喜を許せない。
好きでも嫌いでもないのに・・・だ。
許す許さないは好き嫌いとは関係ないのかも知れない。
俺はそんなことを思いつつ、枕元に置いていたスマホを手繰り寄せ、夜中にも関わらず電話をコールした。
さて、電話の相手は出てくれるだろうか?
ドクンと胸が高鳴った。
今夜こそは逃がさない・・・。
そう思うと更に俺の胸は高鳴った。