もしもの恋となのにの恋
「茶化すなよ」
「茶化してなんかないよ。・・・秋人、先生になるんでしょ?」
私の言葉に秋人は照れ臭そうに小さくコクリと頷いた。
秋人は高校卒業後、進学し医者を目指している。
私はそんな秋人を心から応援しているし、尊敬もしている。
「・・・秋人がお医者さんになろうと思ったのは私と忍のことがあったから?」
遠慮がちにそんなことを聞いてみる。
ずっと気になっていたことだ。
それは今、聞かなければずっと聞けないことだとも思う。
私の質問に秋人は瞬いた。
「答えて?・・・正直に」
私のうながしに秋人は観念したのか小さな溜め息を吐き出し、真っ直ぐに私を見つめ見た。
感情の読み取れない秋人のその視線に私は僅かに身構えた。