もしもの恋となのにの恋
「・・・秋人?」
そのひどく掠れた弱々しい声に俺の胸は痛いほど締め付けられた。
どんなに掠れた声でもどんなに弱々しい声でも千鶴のものなら俺の耳に届く。
その自信が俺にはある。
俺はあえて、ゆっくりと千鶴の方を振り返った。
本当はすぐに振り返り、千鶴の顔を見たかった。
だが、俺はその衝動をその感情を必死で押し殺した。
そうしなければいけないと思った・・・。
俺はまだボーッとしている千鶴をそっと見つめ見た。
ふと口元が綻んだ。
よかった・・・。
心からそう思った。
「・・・大丈夫か?」
自分でも驚くほど優しい声が出た。
俺はそれが何だか小恥ずかしかった。
千鶴は今の状況がよくわかっていない様子だったがそれでも小さく頷いた。
「そうか」
そう言うとまた口元が自然と綻んだ。
今の千鶴は俺の言葉の意味も俺の声もちゃんとわかり、聞こえている。
それだけのことがこんなに幸せだと言うことを俺は今の今まで知らなかった。
俺はその幸せを噛み締めつつ、不思議そうな表情をしている千鶴を窺った。
俺が部屋にいることを不思議がっていることは容易に想像がついた。
あえて千鶴の言葉でそれを言うのならば『なぜ、秋人が私の部屋に?』だろうか?
そんな予想をすると苦い笑みが自然とこぼれ出た。
今夜の俺はよく笑う・・・。
そんなことを心の内で呟いてみる。
そして、それはいいことだとも付け加えてみる。
俺は普段、あまり笑わない。
特に千鶴の前以外では・・・。
「悪い・・・。電話の途中で急に応答がなくなったから気になって来た。・・・合鍵、ポストの中に入れてるの俺、知ってたからそれを使って入った。今思えば宮原さんに連絡入れりゃよかったんだよな・・・。悪い・・・」
俺は子供の言い訳のようにそう言って目を伏せた。
本当に焦ると人は回りが見えなくなるものなんだな・・・。
俺は心の内で呟いた。
千鶴には宮原さんがいる。
なのに・・・だ。
俺はそのことを失念していた。
ただ、千鶴がポストに合鍵を隠していることだけはしぶとく忘れずに覚えていた。
これじゃまるでストーカーだな・・・。
俺はまた心の内で呟いた。
「大丈夫。・・・ごめんね?心配してくれてありがとう」
千鶴のその謝罪と感謝の言葉に俺は戸惑い、照れ臭くなってしまった。
それを隠したくて俺は小首を振ってみる。
そんな俺を千鶴はどう見たのだろうか?
ふと、そんなことが気になった。
「恐らく風邪だろが朝になったら病院に行けよ?なんなら送るから」
俺の勧めに千鶴はクスクスと笑った。
嫌なヤツ・・・。
そう思うも愛しさの方が勝っていることは言うまでもない。
「なら、秋人先生が診察してよ」
千鶴の言葉に俺は心の内で瞬いた。
それはまさかの返答だった。
俺はわざと不機嫌そうに大きな溜め息を吐き出した。
まさか千鶴に『先生』と呼ばれるとは夢にも思っていなかった。
照れ臭いな・・・。
そんなことを俺は心の内で呟いた。
そのひどく掠れた弱々しい声に俺の胸は痛いほど締め付けられた。
どんなに掠れた声でもどんなに弱々しい声でも千鶴のものなら俺の耳に届く。
その自信が俺にはある。
俺はあえて、ゆっくりと千鶴の方を振り返った。
本当はすぐに振り返り、千鶴の顔を見たかった。
だが、俺はその衝動をその感情を必死で押し殺した。
そうしなければいけないと思った・・・。
俺はまだボーッとしている千鶴をそっと見つめ見た。
ふと口元が綻んだ。
よかった・・・。
心からそう思った。
「・・・大丈夫か?」
自分でも驚くほど優しい声が出た。
俺はそれが何だか小恥ずかしかった。
千鶴は今の状況がよくわかっていない様子だったがそれでも小さく頷いた。
「そうか」
そう言うとまた口元が自然と綻んだ。
今の千鶴は俺の言葉の意味も俺の声もちゃんとわかり、聞こえている。
それだけのことがこんなに幸せだと言うことを俺は今の今まで知らなかった。
俺はその幸せを噛み締めつつ、不思議そうな表情をしている千鶴を窺った。
俺が部屋にいることを不思議がっていることは容易に想像がついた。
あえて千鶴の言葉でそれを言うのならば『なぜ、秋人が私の部屋に?』だろうか?
そんな予想をすると苦い笑みが自然とこぼれ出た。
今夜の俺はよく笑う・・・。
そんなことを心の内で呟いてみる。
そして、それはいいことだとも付け加えてみる。
俺は普段、あまり笑わない。
特に千鶴の前以外では・・・。
「悪い・・・。電話の途中で急に応答がなくなったから気になって来た。・・・合鍵、ポストの中に入れてるの俺、知ってたからそれを使って入った。今思えば宮原さんに連絡入れりゃよかったんだよな・・・。悪い・・・」
俺は子供の言い訳のようにそう言って目を伏せた。
本当に焦ると人は回りが見えなくなるものなんだな・・・。
俺は心の内で呟いた。
千鶴には宮原さんがいる。
なのに・・・だ。
俺はそのことを失念していた。
ただ、千鶴がポストに合鍵を隠していることだけはしぶとく忘れずに覚えていた。
これじゃまるでストーカーだな・・・。
俺はまた心の内で呟いた。
「大丈夫。・・・ごめんね?心配してくれてありがとう」
千鶴のその謝罪と感謝の言葉に俺は戸惑い、照れ臭くなってしまった。
それを隠したくて俺は小首を振ってみる。
そんな俺を千鶴はどう見たのだろうか?
ふと、そんなことが気になった。
「恐らく風邪だろが朝になったら病院に行けよ?なんなら送るから」
俺の勧めに千鶴はクスクスと笑った。
嫌なヤツ・・・。
そう思うも愛しさの方が勝っていることは言うまでもない。
「なら、秋人先生が診察してよ」
千鶴の言葉に俺は心の内で瞬いた。
それはまさかの返答だった。
俺はわざと不機嫌そうに大きな溜め息を吐き出した。
まさか千鶴に『先生』と呼ばれるとは夢にも思っていなかった。
照れ臭いな・・・。
そんなことを俺は心の内で呟いた。