この想いを口にさせてください。
この想いを口にさせてください。
プロローグ
病院のベッドの上。
包帯に巻かれながら、なんとも痛々しいその姿は、確かに私の十何年も一緒にいた幼なじみの姿だった。
「優輝…くん…?」
そう彼の名を口にしても、いつもなら返ってくるはずの彼の声は何一つ聞こえなくて、
そのかわりに、聞こえたのは彼の両親のすすり泣く声と、私の中でこだましている医師の声だけだった…。
“もう…今夜が…”
頭の中で何度もリピートするその声が、私には耳障りなものにしか思えなくて…
「どう…して…?」
今のこの状況が理解できぬまま、
私はただ、目を閉じる彼を呆然と眺めていた…。