この想いを口にさせてください。
another story 君の口から聞きたくて
うすうす、
どこかで期待をしていた。
“ゆずは俺の妹だから。”
そう口にすれば、君は少し切なげに笑う。
ずっとそばにいたから、なんとなくだけど気持ちがわかってしまう。
だけどもしかしたら違うかもしれないって思って、また同じ言葉を口にして、
君が少し切なそうに笑うのを確認してしまう。
“優輝くん。ゆずを守ってあげてくれないかしら?”
おばさんに言われてから始まった俺の彼女を守る役目は、ほんとはずっと前から望んでいたもの。
小さい頃に母さんが読んでくれた絵本に、お姫様を守る王子の話があった。
きっかけはそれだった。
ただ俺は、お姫様を守る彼女の王子様になりたいと、願っていた。
そんな彼女への想いが初恋と呼ぶ日が来たのは、本当にすぐのことだった。
それからと言うもの。
なにかと守ると理由をつけて、俺は彼女のそばにいた。
ダメだとわかっていても、それをやめることはできなかった。