この想いを口にさせてください。




好きになったのはいつだったか…。


それでも、守ると言ってくれたあの日から、優輝くんの存在は私にとってただの幼馴染みではないと気づいた。


それが初恋だと呼べる日が来たのはそんなに遠くはなくて、意外とあっさりしていた。


一緒に居続けて約10年。

飽きることも、ましてや気持ちが薄れることもなく、大きくなっていくこの気持ち。


伝えられたら、きっとなにかが変わっていたのだろうけど、

伝えてしまったら、すべてが壊れてしまうような気がして、

私は今も伝えられないでいた。


『ゆず、これあげるよ。』


『これは…』


『栞。ちょっとおしゃれだろ?ゆずいつも本読んで途中でやめるとき、紙かなんかいれてるから。これあった方がいいだろ?』


よく…見ててくれてるんだ…。


『あ、ありがとう…。』


『おう!』


ニカッと笑う優輝くんを、私はまた好きになっていく…。


もしかしたら…

なんて勘違いしそうになることがたくさんあって、バカみたいに自惚れていた。


そんな大きくなる彼への想いを、


私は今日もまた噛み締めて、彼の隣を歩いていた…。





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