この想いを口にさせてください。

変わらない日常





『はよーす!』


教室のドアを開けて、優輝くんは明るい声でそう口にした。


『お!優輝はよーす!』


すぐに優輝くんの周りには人が集まってきて、わいわいと騒ぎ始める。


そんな光景に少し笑みがこぼれて、私は静かに自分の席に着いた。


『ゆーず!おはよ!』


『わっ!亜衣ちゃんおはよ!』


急に私の前に現れた亜衣ちゃんに、私は驚きながらも挨拶を交わす。


『ゆずはいつも控えめだね?』


『え?』


少し切なそうに微笑みながら、亜衣ちゃんはつぶやくようにそう言った。


『ど、どうゆうこと…?』


訳もわからないその言葉にまゆをひそめれば、亜衣ちゃんは私から視線をはずした。


『朝はいーっつも、寂しそうな顔しながら優輝くんから離れてるよ?』


『えぇ?!!』


うそ…。


『え、気づいてないの?扉の所までは微かだけど幸せオーラ出して、でも入ってきた瞬間に優輝くんの周りに人が集まり出したら少しシュンとしながら席に着いてるよ?』


キョトンとした顔をして、亜衣ちゃんはそう口にした。


わ、私いつもそんな感じなのか…。


『まぁ…彼の方はゆずの表情には気づいてないと思うけど、でもちゃんとゆずが席に着くまで見てるけどね。』


『えぇ?!』


それも初耳…。


優輝くん過保護過ぎるよ…。


そんな彼に少しため息をつけば、亜衣ちゃんがクスッと笑う。


『見てて面白いね?2人とも。』


『お、面白くなんか』


『正反対兄妹ってあだ名がつく理由がわからないけどね…。』


『…っ…』


その言葉に、私の胸が小さく痛み始めた。





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