この想いを口にさせてください。




正反対兄妹。


気づけばそんなあだ名が付いていた。


特別私達は似ているわけではない。

一緒に居れば、それは最初の頃は付き合ってると噂をされた。


だけどいつしか、否定し続けた結果がこうなってしまったのだ。


でも1番の理由は優輝くんのいつもの言葉。


“ゆずは妹だから、兄ちゃんが守らないとな。”


意識さえもしてもらえないと言うことに、高校に入ってあらためて気づき始めた。


だけど

周りからそんなあだ名で呼ばれているのにもかかわらず、亜衣ちゃんは唯一私のことを理解してくれた。


『ゆず、好きならちゃんと言わないと!』


今日もまた、亜衣ちゃんは私にそんなことを言う。


『だ、だって妹扱いされてるのに…』


『妹扱いしてるようには見えないけどな。』


『だ、だって現に言ってるもん!』


昔から…。


『でも言ってみないとわからないよ?もし妹って思ってたとしても、告白したら変わるかもしれないじゃん。』


うっ…。


『そうだけど…』


『そうだけどじゃなくて!
この会話昨日も一昨日もその前もずーっとしてるからね?!いい加減一歩前進だよ?ゆず!』


毎日毎日こうして活を入れてもらっているのに、やっぱりどうしても言えなかった。


心で言うことは簡単なのに、
口に出すのは難しい。


『明日があるかなんてわからないんだからね?少しはそうゆう自覚持たなきゃダメだよ?』


『は、はい…。』


そう言われてもなお、やっぱり私は言えない。


私の心の中で引っかかっているのは、見込みがないということ。


伝える意味あるのかなと、思いとどまってしまう…。


『…はぁ…』


『…こりゃ今日もダメね…。』


隣で呆れたような声をもらす亜衣ちゃんに、私はいつものように申し訳なさでいっぱいになりながら、シュンとしていた。





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