名のない足跡
「見かけで人を判断するやつって嫌いなの。だからそうゆうやつの代金は超高くしてやるのよ」
…それって悪徳商法なんじゃ。
そう思ったけど、あえて黙っていた。
「でも、あなたは違ったわ。特別、無料で魔術使ってあげる」
「ほ、本当!?」
人間やはり、タダという言葉には弱いもの。
「今回だけよ?今回だけ、特別」
ロズは釘をさして、奥の部屋へ向かう。
あたしたちは、その後に続いて奥の部屋へ入った。
その部屋は、家具も何も置いてはいなかった。
部屋の中央に、大きな魔法陣が描かれている。
ロズに言われるがままに、あたしたちは魔法陣の中へと入る。
「サヴァだったわよね?じゃ、いくわよ」
「お、お願いしますっ」
ロズは両手の手のひらをあたしたちへ向け、ぶつぶつと呪文を唱え始めた。
足元の魔法陣が輝く。
「ひあっ」
驚いて、思わず、本当に思わずライトにしがみついてしまった。
あたしは慌てて謝って離れようとすると、
「構いませんよ、姫様」
とライトが言うから、片手で軽くライトの服の裾を握った。
その時、ロズが顔をしかめた。
「…結界張ってんのかしら。抵抗を感じるわ」
「結界ぃ!?」