名のない足跡

そのうち、隊長格らしき人物が「一時拘束し、宮殿内へ!!」と兵に指示し、あたしたちは両手を縛られ(かなり痛い)、連れていかれた。





†††


「あーっはっは!すまないね!」


豪快に笑い声を上げ、あたしたちの前にどっかりと腰掛けている人物。



サヴァ国女王・アルファ=ヴァーリア。



長くストレートな金色の髪は、砂漠の下で暮らしているとは信じられないほど、綺麗な艶と光沢を放っている。


服装だけを見れば、ただの国民と変わりがない。ショートパンツから、すらっとした足が伸びている。


サファイア色の瞳は、今は優しく細められていた。



あたしたちが連れて行かれた先は、なんと王の間。


ひざまずかされ、どうなるかと冷や冷やしてた時、アルファ女王はあたしたちを見るなり、大笑いしだした。


「………ぇ」


目を丸くして驚くあたしの目の前に来て、アルファ女王はしゃがみこむ。


目線が同じ高さになって、視線がぶつかった。


「…フォーサス国国王、ルチル=セレナイト殿だな?」


すぐに見抜かれて驚いたのは、あたしだけじゃなかった。


両隣で、ライトは体勢を立て直したし、ウィンは目つきがより鋭くなった。




< 105 / 325 >

この作品をシェア

pagetop