名のない足跡

そこで一息つくと、アルファ女王は、笑ながら言った。


「そんなにかしこまらなくてもいいよ!もっと砕けた口調でも構わない」


「…そうですか?では、お言葉に甘えて」


コホン、と軽く咳払いをしてから、あたしはズバリと言った。



「お二人は、あたしを試してますよね?」



途端に、二人は目をぱちくりさせ、アルファ女王は楽しそうに問いかけた。


「…何故そう思った?」


あたしは、メノウ交易官から聞いた話と、それについての自分の考えを話した。


二人とも、あたしの話を最後まで黙って聞いてくれた。


「…と、言うわけで、そうなのかなーって思いました」


話し終えると、二人は顔を見合わせ、笑い出した。


「あっはっは!大当たりだよ、ルチル殿!!」


「くくくっ…どうやら俺たちは、貴女を甘く見ていたようだ」


「ふふふ、見直して下さいました?」


三人分の笑い声が、室内に響く。


笑い声がおさまると同時に、あたしは切り出した。


「それで、お二人の目に、あたしはどう映りました?」


「そうだな。手紙を送ってくれたのは悪くない。こっちも警戒していたし」




< 116 / 325 >

この作品をシェア

pagetop