名のない足跡
そこで一息つくと、アルファ女王は、笑ながら言った。
「そんなにかしこまらなくてもいいよ!もっと砕けた口調でも構わない」
「…そうですか?では、お言葉に甘えて」
コホン、と軽く咳払いをしてから、あたしはズバリと言った。
「お二人は、あたしを試してますよね?」
途端に、二人は目をぱちくりさせ、アルファ女王は楽しそうに問いかけた。
「…何故そう思った?」
あたしは、メノウ交易官から聞いた話と、それについての自分の考えを話した。
二人とも、あたしの話を最後まで黙って聞いてくれた。
「…と、言うわけで、そうなのかなーって思いました」
話し終えると、二人は顔を見合わせ、笑い出した。
「あっはっは!大当たりだよ、ルチル殿!!」
「くくくっ…どうやら俺たちは、貴女を甘く見ていたようだ」
「ふふふ、見直して下さいました?」
三人分の笑い声が、室内に響く。
笑い声がおさまると同時に、あたしは切り出した。
「それで、お二人の目に、あたしはどう映りました?」
「そうだな。手紙を送ってくれたのは悪くない。こっちも警戒していたし」