名のない足跡

ままままさか、父様…


国王クビだー!!


とか言われるんじゃ…!


冷や汗をだらだら流すあたしと、アゲートさんの視線がぶつかる。


「ルチル様…あなたが一番、衝撃をお受けになると思います」


あたしは固まった。


や、やっぱり!? やっぱりクビなの父様!?


「けれども真実ですが故、どうかお受け入れ願います」


やばい。倒れそう。


あたしの頭には、今後の人生が映し出されてゆく…。


クビになった父様、一緒に城から追い出されるあたし。


みすぼらしい服に身を包み、ひもじい生活を続ける…。


そんなのイヤッ!!

耐えられない―――ッ!!


あたしは意を決し、先にこっちから申し入れようと思った。


どうか父様をクビにしないで、と。


でも。



「国王様が、お亡くなりになられました」



瞬間、誰もが息を飲んだ。


あたしは、全く予想もしていなかった言葉で、顔面を殴られたような気がした。


「う、そ…」


あたしは思わず立ち上がっていた。


自分でも、体中の血の気が引いていくのがわかって、そんなあたしをライトが心配そうに見ているのを、視界の端で捕らえた。


…けど。


そんなことはどうでもよくて。



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