名のない足跡
ウィンが隣で、「責任持ってあんたがどーにかしろよ」とため息と共に部屋を出ていった。
…この、薄情者っ!!
「どんな仕事をしたいとか、ありますか?」
ライトは、あたしを見捨てたりはしなかった。
さすがライトッ…!!
アズロは、頭に片手をあて、唸った。
「ん~…。楽な仕事がいーかな」
―――ぶちっ
気づくと、あたしは怒鳴り始めていた。
「ちょっと!! 楽な仕事なんてあるわけないでしょー!?」
アズロは驚いたらしく、口をポカンと開けている。
ライトはあたしの突然の行動に慣れてるのか、失笑していた。
「一生懸命働くから、やりがいとか充実感があるのよ!! そんな考えじゃ、どこにも雇ってもらえないわよッ!?」
ところかまわず気持ちをぶちまけると、なぜか、アズロは小さく笑った。
「…ははっ。超こえー」
笑ったはずなのに、その瞳は憂いを帯びていた。
「…オレさぁ、自分でもわかってるけど、超めんどくさがりなワケ。君が言ってたように、もういろんなトコでクビになりまくり」
「…っ、ごめん」
「何で謝んの?いーよ、オレ慣れてるし」